52歳、非エンジニア。 年商が伸びるたびに、「次のステージでは楽になる」と思っていた。 3億を超えたら。5億を超えたら。10億が見えてきたら。
実際はどうだったか。 数字は右肩上がりなのに、体と心は右肩下がりだった。
成果は出ている。なのに、重い。 この矛盾に、長い間向き合えなかった。
「成果は出ているのに重い」── この状態には、構造的な理由がある。
ごきげん4原則という考え方がある。 「やりたいことをやる」「やりたくないことをやめる」 「ごきげんな人と過ごす」「不機嫌の種を取り除く」。
売上が伸びても楽にならない経営者は、 この4原則のどれかが崩れている。
売上の成長に合わせて「やりたくないこと」が増えている。 成長に伴い「不機嫌の種」が自動的に蓄積されている。 取引先や関係者が増え、「ごきげんな人」の比率が下がっている。
つまり、売上の成長と「経営者のごきげん」が構造的に乖離している。
多くの経営者は、売上の成長に対して 仕組み・人材・役割の再定義を先送りにする。 結果、経営者個人の消耗で成長を支え続ける構造が固定化する。
「楽になる」は売上の先にはない。 ごきげんの設計の先にある。
- 売上成長と経営者のごきげんは構造的に乖離する
- ごきげん4原則の崩れが「成果は出ているのに重い」を生む
- 「楽になる」は売上の延長線上ではなく、仕組みの再設計の先にある
- 経営者個人の消耗で成長を支える構造は、早晩限界が来る
「やりたくないこと」が売上と一緒に増えていた
年商が5億から8億に伸びた3年間。 経営者の業務を棚卸ししてみたら、 「やりたくないこと」が17個増えていた。
新しい取引先との義理の会食。 増えた社員の労務問題。 複雑化した報告書の確認。
売上が伸びるほど、判断の数が増え、 関わる人が増え、責任の範囲が広がる。
成長の中身を分解すると、 「やりたいこと」は3つ増えただけだった。 「やりたくないこと」が17個。
この比率が、重さの正体だった。
対策は単純だった。 17個のうち12個を、仕組みか人に委ねた。 残り5個のうち3個は、やめた。
売上は変わらなかった。 しかし、経営者の表情が変わった。
「ごきげんな人」の比率が下がっていた
独立初期は、一緒に働く全員が好きだった。 自分で選んだ仲間。自分で選んだ顧客。
年商が10億に近づくにつれて、 「選べない関係」が増えていった。
取引先の担当者。紹介で来た顧客。 採用した社員の中にも、合わない人がいる。
「ごきげんな人と過ごす」比率を計算してみたら、 独立初期は90%だったのが、今は40%に下がっていた。
人と会うたびにエネルギーが減る。 仕事が終わっても充電されない。 週末は回復に充てるだけ。
比率を戻す方法は2つ。 「合わない関係を仕組みで距離を取る」か 「ごきげんな関係を意識的に増やす」か。
両方やった。 義理の会合を5つやめ、 本当に会いたい人との時間を月3回確保した。
売上には影響しなかった。 エネルギーの質が、根本から変わった。
「不機嫌の種」を放置していた代償
売上が伸びている最中に、 経営者が体調を崩すケースは珍しくない。
ある経営者は、年商12億に到達した直後に 2ヶ月間動けなくなった。
振り返ると、「不機嫌の種」を3年間放置していた。 週に2回の早朝会議。価値観が合わない幹部との緊張。 形式だけの業界団体への参加。
どれも「成長に必要なコスト」と捉えていた。 しかし、不機嫌の種はコストではなく毒だった。
少量なら気にならない。 しかし蓄積すると、判断力・体力・人間関係を同時に蝕む。
回復後、不機嫌の種を一つずつ取り除いた。 早朝会議をやめた。幹部との関係を再構築した。 業界団体を退会した。
売上は一時的に5%下がった。 しかし翌年、過去最高益を更新した。
不機嫌の種を取り除いた分だけ、 経営者のエネルギーが本業に戻ったからだった。
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ごきげん4原則で経営を再設計する4ステップ
- 今の業務・関係・習慣を「やりたい/やりたくない」「ごきげん/不機嫌」の4象限に仕分ける
- 「やりたくない × 不機嫌」象限の項目を書き出し、上位3つに印をつける
- 3つのうち1つを今月中に「やめる・委ねる・距離を取る」のいずれかで処理する
- 「やりたい × ごきげん」象限に、今月増やす時間を1つ具体的に決める
売上が伸びることは、素晴らしいこと。 しかし、その成長の裏で 経営者自身のごきげんが犠牲になっているなら、 それは持続可能な構造とは言えない。
「楽になる」ために必要なのは、 さらなる売上ではなく、ごきげんの再設計かもしれない。
今の売上を支えている自分は──ごきげんですか。
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