52歳、非エンジニア。 HTMLとCSSの違いすら怪しかった。
それでも自分でSaaSを作った。 8日間で。GitHubのコミット履歴が証拠だ。
その前に何をしていたか。 開発会社3社に見積もりを出した。 300万、500万、800万。
「プロに任せるしかない」と思っていた。 でも、伝言ゲームの構造が見えていた。
発注者→PM→エンジニア。 各段階で意図がブレる。 見積もり待ち、MTG待ち、レビュー待ち。
開発時間の大半は「コードを書く時間」ではなく、 「人と人の間の調整時間」だった。
その調整時間が、丸ごと消えた。
私が体験した数字を並べる。
外注の見積もり:300〜800万円。工期3〜6ヶ月。 保守費:月20〜30万円が永続的にかかる。 仕様変更のたびに追加見積もり。
バイブコーディングで自作した場合: 月額$20(約3,000円)。開発期間8日。 仕様変更は自分で即日対応。保守費ゼロ。
なぜこの差が生まれるのか。
従来の開発で時間を食っていたのは、コーディングではない。 伝言ゲーム、待ち時間、手戻り、会議、稼働調整、レビュー待ち。 人と人の間の摩擦が、コストの正体だった。
AIで直接対話すると、意図が100%伝わる。 即レスポンス。その場で修正。会議なし。 24時間稼働。レビュー待ちなし。
ただし万能ではない。 決済システム、法規制、大規模トラフィック。 こうした領域はプロの品質が必要だ。
重要なのは「全部外注か全部自作か」の二択ではなく、 どの開発にどの手段を使うか──この判断基準を持つこと。
- コスト構造の転換:外注300〜800万円 → バイブコーディング月額$20、年間3.6万円
- スピードの実証:従来3〜6ヶ月の工期 → 8日間でSaaS構築(GitHubコミット履歴で検証可能)
- 摩擦の消滅:伝言ゲーム・待ち時間・手戻り・会議──人と人の調整コストがゼロに
- 自由度の獲得:仕様変更のたびに追加見積もり → 自分で即日修正、保守費ゼロ
- 判断基準の明確化:「何を自作し、何を外注するか」を実データで線引きする
8日間でSaaSを構築した記録──GitHubコミットが証拠
私が作ったのはFounders Direct Cockpitという経営管理SaaS。OKR(戦略)→ Action Map(戦術)→ TODO(実行)の3層が一気通貫で繋がるツールだ。
11月17日、Initial commit。「データベースって何?」の状態から始めた。 11月17〜18日、認証・暗号化基盤を構築。 11月24〜25日、全タブをReactに移行完了。
8日間で本番デプロイ可能な状態になった。従来の開発なら3〜5ヶ月かかる範囲だ。
なぜ速かったのか。コードを1文字も書いていないからだ。私がやったのは「何を作りたいか言語化する」「AIと対話しながら仕様を詰める」「動くものを見て判断する」の3つだけ。
これを外注していたら、まず要件定義に1ヶ月。見積もり待ちに2週間。開発開始は2ヶ月後。「思ってたのと違う」で手戻り。合計6ヶ月、500万円。
月額$20のツール代と8日間の自分の時間。この差額が、外注の「調整コスト」の正体だった。
60万行のExcelを業務アプリに移行──外注見積もりなしで
経営管理の現場では、Excelが肥大化する。私の場合も例外ではなかった。OKR管理、顧客リスト、タスク管理、日報──すべてがスプレッドシートに散在していた。
開発会社に「これをアプリ化したい」と相談すれば、まず「要件定義に3ヶ月」と言われただろう。60万行のデータ移行だけで見積もり100万円。
バイブコーディングでは、ChatGPTで設計を固め、Claude Codeで実装し、Codexでコンテキストを復元する。3つのツールを「設計・実装・補完」で使い分ける。
技術スタックはNext.js + Supabase + Vercel。この選定もAIとの対話で決めた。初心者の私が「Neonを使って詰んだ」経験から、Supabaseに切り替えた判断もAIが支えた。
結果、135,611行のコードベース、1,019コミット、244テスト。IPA非機能要求グレードA相当のセキュリティ。これが月額$20のツール代で実現した。
「作れる人」の価値が暴落した時代に、価値がシフトした先は「何を作るか分かっている人」。それは経営者自身だ。
外注が正解だった領域──使い分けの実際
すべてを自作すればいいわけではない。私自身、この判断を間違えかけた。
AES-256-GCM暗号化の実装は、Claude Codeが正確に処理してくれた。しかしPCI DSS準拠が求められる決済連携は別の話だ。セキュリティ監査の知見がないまま進めるリスクは取れない。
実際の判断基準はシンプルだった。
自作が最適:社内業務ツール、顧客管理、タスク管理、レポート生成、MVP検証。つまり「自分が使うものを自分で作る」領域。
外注が必要:決済・課金システム、個人情報の法的管理、医療・金融の規制対応、1,000人超の同時アクセス設計。つまり「失敗したときの被害が自社を超える」領域。
ハイブリッドが最強:基本機能をバイブコーディングで自作し、セキュリティが求められる部分だけ外注する。フル外注800万円のところを、自作+部分外注で100万円以内に収まるケースは珍しくない。
この使い分けの判断基準を持っているかどうかが、開発コストに10倍の差をつける。
AIネイティブ化の全体像は /for-ceo でご覧いただけます。
自社SaaS開発の手段を判断する5つの問い
- 問い1:決済機能や個人情報の法的管理が必要か? → 「はい」なら、その部分だけ外注を検討する
- 問い2:同時アクセス1,000人超の設計が必要か? → 「はい」ならインフラ設計は外注、UI/業務ロジックはバイブコーディング
- 問い3:まずMVP(最小限の製品)で市場検証するフェーズか? → 「はい」ならバイブコーディング一択。検証後にスケール手段を選ぶ
- 問い4:「何を作りたいか」を自分の言葉で説明できるか? → 「はい」なら自作の成功確率は高い。ドメイン知識こそ最大の武器
- 問い5:上記すべて「いいえ」で、かつ説明もできる → バイブコーディングで自作が最もコストパフォーマンスが高い
8日間でSaaSを作った。 コードは1文字も書いていない。
外注見積もり300〜800万円の開発を、 月額$20で完了させた。
魔法ではない。 人と人の間の調整コストが消えただけだ。
「作れる人」の時代は終わった。 「何を作るか分かっている人」の時代が始まった。
あなたの事業で、 「これがあれば回るのに」と思っているもの。
それを言語化できるなら、 もう作れる。
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